「イノベーションの脈動」:危機下のイノベーション

2020/09/08 5:25:03

今回の「イノベーションの脈動」は危機の状況下におけるイノベーション対応に焦点を当ててお届けします。

この「イノベーションの脈動」のコーナーでは、イノベーション活動の中でのポピュラーな話題に対してヒント、策略、アドバイスを時折取り扱っています。これにより他の方々にも少しでもお役に立てばと思っています。ウェルスプリングではこれらの情報や知見をメール、電話、イベント、ラウンドテーブル、クライアント様、パートナー様、社員等との日々の会話や活動から集約しています。

コロナ禍が私たちの日常生活を「正常」から「危機」、「日常」から「非日常の日常」に変えてからおよそ半年が経ちました。世界中であらゆる規模の組織がこの状況に適応しようと試みてきました。最初に最も優先されたのはビジネスの生存と継続性でした。中には従業員の維持・確保が優先された組織もあります。予測不可能な状況下、売上予測やKPIの修正をしたり、何とか「成功」するために現実的な目標を設定する組織もありました。誰もが長期的なビジネスへの影響を予測しながら、短期的な調整を行っています。

様々な課題はありますが、楽観的な見方もあります。最も驚くべきイノベーションの中にはこのようなカオスの状態から生まれたものがあります。ここ6ヶ月の混沌とした状況の中、「正常」とは常に便利なフィクションのようなものであり、戻るべき「正常」は無いと主張するリーダーもいます。

イノベーションへのチャンスは史上最高の状況に向かっています。イノベーターの役割は、いつもと同様に今日、前向きな変化を推進する上で、非常に重要となっています。しかし、この不確かな時代には、イノベーションのリーダーでさえ、自分たちの努力を如何に結集することができるかと苦労しています。

今回の「イノベーションの脈動」では、このような危機の中、如何にしてイノベーションを続けるのかという問いを投げかけました。それに対し、下記のような回答や考察をいただきました。

  • 消費者のニーズに焦点: 消費者向け業界は、顧客を念頭に置いてイノベーションを起こす必要があります。満たされていない、またはサービスが行き届いていないニーズを探すことは常に重要ですが、特に今、イノベーターは変化するニーズも考慮する必要があります。進化しつつある危機の中、新しい複合要素が消費者のライフスタイル、習慣、予算に影響を与えることとなります。これらの新しい傾向の多くは永続的になる可能性がありますが、中には短期的なニーズとなるものもあるかと考えられます。イノベーションにおいては、全てを慎重に評価する必要があります。
  • 既存の資産と関係を活用: 大規模なオフィス、ラボ、R&Dセンターの多くが近い将来閉鎖される可能性もありますが、組織は過去のプロジェクトや失敗した研究やプロジェクトの内容と学びを再利用することができます。既存のテクノロジーを活用した新たなアプリケーションは、長期的なイノベーション戦略を危険にさらすことなく、ビジネスに短期的な価値をもたらすことができます。同じことが外部とのつながりやイノベーションに関わるネットワークにも当てはまります。数年前には意味をなさなかった戦略的提携が、今、双方の組織にとって好ましいチャンスとなる可能性もあります。
  • 現在のプロジェクトを評価: パイプラインにあるプロジェクトを相対的に検討する必要があります。通常の日常生活でないため、テクノロジーのポートフォリオのうち、ある特定の領域に注意を払う必要がある場合があります。特定のプロジェクトにさらに重きを置くべきか、または他のプロジェクトに集中すべきであるかという検討と決断です。現在の状況の中、新たな優先度の値するプロジェクトが止まっている可能性もあります。地域またはグローバルの顧客を支援するために何ができるでしょうか? これらを深く考えるのは常に大切ですが、現在のような激動の状況下では、このように考え対応することへの緊急性と頻度が高くなります。
  • 組織の最適化を提唱: 地域的および世界的な危機は、組織に違った運用方法を強いることとなります。企業が変化を嫌い躊躇することは多いですが、世界情勢やビジネスの先行きが不透明なことを再認識し、断固とした判断と行動をとることにより、長期化する問題へ対処することができます。緊急時の対応や政府のガイドラインに対応しつつ、既存のプロセスや方法より、更に効果的な回避策た対策を発見できる可能性もあります。
  • 人への投資: 一時的にビジネスが滞ることで、労働力のレベルアップをするチャンスが与えられたことにもなります。会議や通勤に必要な時間が減り、従業員は専門知識や能力向上に時間が避ける状況が生まれているもの事実です。柔軟性のある人は、より迅速に適応し、関係者を支援、また新たな共生の形により、新たな方法で組織の使命に貢献できることもあります。

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Image by OpenClipart-Vectors from Pixabay

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